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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.04.20 (Sat) Category : 

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ー毒男の怖い話とか音楽とか雑談とかー <毒男シリーズ>

2016.11.04 (Fri) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

1:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:10:46.803ID:0ZRQn55R0.net
|A-) 怖い話は探しながら人がいる限りゆっくりと
   怖い話書ける人、貼れる人はどうぞー
   レスがなくなったらさるさんくらったか寝たか人いなくなったと思ってね



8:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:17:27.933ID:0ZRQn55R0.net
2年くらい前、お菓子屋さんでバイトしてた時の話。

その店は車通りの多い交差点の角にあって、割と儲かっていた。と思う。
営業時間は9時までで、閉店すると店内ほとんどの明かりを落として、お金の計算と発注をして、9時半までには帰るのが日課だった。
帰る時には、店の明かりを全部消すのだけど、その時必ずいつも2階の休憩室から
「コトコト…」
という音が鳴っていた。

実際その音は、蛍光灯を消した時の音だったらしく、私は別に怖くもなかったのだけど、幽霊なんかは信じないが怖い話は大好きな私は新人のバイトなんかに
「電気を消すと足音がするんだよ~」
と言っては脅かして遊んでいた。

新人も、怖がりつつもそれが蛍光灯の音だとわかっていたので、
「やめて下さいよ~」
なんてふざけて受け答えしていた。

確か12月の始めくらいのことだったと思うけど、店に面した交差点で事故があった。
私はその日バイトが休みで、事故を見なかったのだけど、壮絶だったらしい。
そこの交差点の信号は時間差になっていたせいか、見通しは悪く無いのによく事故が起こっていた。
大体2ヶ月に一回くらいのペース。
バイト中に事故を目撃して、救急車を呼んだこともあった。

で、その12月の事故で、私がバイトを始めてから初めての死者が出た。
私はその場にいなかったからわからないけど、信号無視してきた車が店の前の交差点を横断中の中年の女性をはねたらしい。
私は次の日バイトに行くまでその事故のことを知らなかったのだけど、店長の話ではその女性は、搬送先の病院で亡くなった、とのことだった。
事故に関しては珍しいことではなかったので、しばらくしたらその話は誰からともなく忘れてしまった。

その一ヶ月後くらいの12月30日のことだったと思う。
お菓子屋さんにとってみれば年末年始はかなりの稼ぎ時で、バイト先も例外じゃなかった。
お年賀用の菓子折りの造り置きを、何百という単位で作っておかなきゃいけない。
だから30日は、店を閉めてからもずっと残って作業していた。
残っていたのは、私と新しいバイトの子と副店長の3人。

多分11時になるかならないかの時間だったと思うけど、ずっと作業してきてちょっと休憩しよう、ということになった。
寒かったし、何か暖かいモノでも買って来よう、ということになって近所のコンビニに2人が買い物に行くことになった。
残ることになった新人は結構な怖がりで、
「早く帰ってきて下さいよ~」
と冗談だか本気だかわからないような怖がり方をしていた。
それがちょっと面白くて、私と副店長は彼女を残すことになったんだと思う。



10:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:19:32.772ID:0ZRQn55R0.net
安全のため鍵をかけて、副店長とコンビニに行って10分くらいで戻った。
外から店を見たら、明らかに変。
何故って電気が全部消えている。

新人が黙って何処かに出かけたのか?と思ったけど、鍵はかかったままだった。
ちなみに彼女(新人)は店の鍵を持っていない。
だから、自分達を驚かす為にわざと電気を消して待ってるんだな、という結論になった。
ニヤニヤしながら2人で店の中に入る。

「わ!」
とか言いながら飛び出してくるかと思っていた新人だけど、全く出て来る気配がない。
息を潜めてカウンターの影にでも隠れているのかと思って、とりあえず電気をつけた。
「●●さ~ん!戻って来たよ~」
と呼んでも出てこない。
ちょっと心配になってくる。

多分何処かに隠れてて、こっちが本当に心配しだしたころに飛び出てくるんだろう。
そう思って、ちょっと店の中を探した。
それでも何処にもいない。
2階も探したし、ロッカーの中も見たけどいない。
本格的に焦ってきて、呼びながら2人で探した。でもいない。
鍵はかかってたから、外にいるわけはないし…と思って、とりあえず店長に電話をしてみようか…という話になった時、突然。

ドオン!

何かを叩く音がした。
正直言うと、ビックリしてちょっとチビりそうになった…。
その音は店の奥の、業務用の大きな冷凍庫からしたみたいだった。
冷凍庫というか、2畳分くらいの小さな部屋と言った方がいいかもしれない。

冷凍庫っていうのは、温度の調節のために時々止まっては稼動して…
をくりかえしている様だったので、たまに
「ドン」
という音がしたりはしていたのだけど、明らかにその音とは違う。
どちらかというと中から何かをぶつけたような音だった。
まさか!?と思って慌てて冷凍庫を開けると…。

いた。
新人がその中でガタガタ震えながら体育座りをしていた。
「何してるの!?」
と急いで彼女を中から引っぱりだし、上着を着せて買って来た肉まんを食べさせてやった。
歯をガチガチ鳴らして、最初はロクに立つこともできなかったのだけど、徐々に震えが止まって、肉まんとお茶を飲むことができた。

「大丈夫?何であんな中入ってたの?」
と聞くと、急に彼女は涙を流して
「もう帰りたい!帰りたい!ここいたくない!」
と子供の様に泣き出した。
時間ももう遅いし(確か11時半過ぎ)新人もこんなだから、とにかく帰ろう、ということになった。
新人は副店長が車で送って行った。

次の日、新人はバイトに来なかった。
辞めたらしい。
おかげで31日は死ぬ程忙しかった。



12:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:21:29.571ID:0ZRQn55R0.net
31日に店を閉めてから、副店長に昨日のことを聞いた。
副店長が車の中で新人に聞いた話では、彼女はやっぱり私達を驚かそうとしてカウンターの影に隠れていたらしい。
そうしたら、突然電気が消えた。
彼女は私達が帰って来て、逆に驚かそうと電気を消したと思ったらしい。
そうしたら足音が聞こえた。
「来た来た…」
と彼女は思ったらしいけど、何か変。

……2階から聞こえる。

蛍光灯を消した時の音は彼女も何度か聞いていたので、最初はその音だと思ったらしい。
でも、いつもはネズミが走っているような
「コトコト…」
という音が何だか

「ギシ…ギシ…」

という音に聞こえる。
しかも音のする場所が移動している。
例えるなら、2階で誰かがグルグル歩き回っているような…。
彼女は怖くなって電気を付けようと走り、慌ててスイッチを押したけど電気が付かない。
泣きそうになりながら何度もスイッチを押していると、音がまた移動している。

…ギシ…ギシ…ギシ…ギシ…

(階段を降りてきてる!?)
とにかく何処かに逃げなきゃ、隠れなきゃ、と思った彼女の目に飛び込んできたのが冷凍庫のドア。
開けたら、中の電気が付いた。
それに安心したのか、彼女はその中に入ってドアを閉めた。
もちろん冷凍庫なので、ドアを閉めたら電気が消える。
密室で寒くて真っ暗で、彼女はまたパニックになった。
今度は出ようと必死になるけど何故かドアが開かない。
もちろん冷凍庫は人が閉じ込められないように、中からも簡単に開くようになってる。
赤いボタンをポチッと押せばいいだけ。
でも、いくら押してもドアが開かなかったらしい。

凍えそうに寒くて、狭くて、暗くて、頭がおかしくなりそうになりながら
「助けて!助けて!」
と何度も叫んでドアを叩いたらしい。でも開かない。
もう自分は本当に死ぬんじゃないかと思って、渾身の力を込めてドアを叩いたら、外からドアが開いた。
そこで私達がドアを開けたらしい。
ちなみに私達は彼女のその渾身の一発以外の音や声は全く聞かなかった。



13:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:22:48.265ID:0ZRQn55R0.net
この話を聞いて、多分彼女は怖くてパニックになっただけなんだろう、と思ったけどそんな目にあったんじゃ辞めるのも無理はないな…と思った。

そしてその時店長が、

「昨日深夜にセコムのセンサーが反応したらしくて、警備員が見に来たんだけど、何もなかったんだって~(笑)」

と言った。
普段だったら
「何か出たんじゃないの~?(笑)」
と笑う所だけど(実際過去に何度か反応したことがあったし)昨日のことがあっただけに、笑えなかった…。

で、今私このバイト辞めてるんだけど、それにはちょっと理由があってね。
新人さんが辞めた2日後のお昼、2階の休憩室で1人休んでたんですが。
そこの灰皿(タバコを吸う人がいないので、その時は小物入れになってた)に見た事のない指輪があった。ちょっと高そうな感じ。

後で店長に聞いてみたら
「ああ、あの指輪ね~、一ヶ月くらい前に店の駐車場に落ちてたのを拾ったの。高そうだし、お客さんの落とし物かもしれないから預かってるんだよ」

一ヶ月前。
偶然かもしれないけど、死亡事故が起きた時。中年の女性。指輪。
ひょっとしたらその指輪は亡くなった女性のもので、新人の子が聞いた足音はその女性のものでは。
そう考えてしまったら、何だか怖くなってしまって。
お正月の忙しい時期が終わってから、私もバイトを辞めた。

確かめることも何もできないけど、今でもそのお店は普通に営業しているし、店長も副店長もまだ勤めている。

(続きは『続きを読む』をクリック)


 









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26:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:36:12.746ID:0ZRQn55R0.net
知人Aから聞いた話。
Aは神奈川県内の高校を卒業後、N県にある大学に進学し、2年次までは寮で暮らしていたのだが、3年次からはもう一人暮らしを始めようと思った。
とはいえあまり親にお金をかけては申し訳ないからということで、格安の物件を探し、築ウン十年もたった古い木造アパートで暮らし始めた。

ただ気になったのは部屋の柱一ヶ所にお札が張ってあったこと。
しかし心霊や迷信など気にしてなかったAはそんなお札なんて剥がしてしまった。
彼は理工学部の大学生で研究が忙しく、ほとんどアパートで過ごす時間はなかった。

あるとき部屋の隅に女の人の長い髪の毛が落ちているのを見て、あれっ、こないだ掃除したばかりなのにおかしいなぁ、と思いつつもゴミ箱に捨てた。
またある日、部屋の隅に長い髪の毛が落ちているので、どっか部屋の隙間でもあってそこから入ってきてるのかなぁ、とおもいつつもゴミ箱に捨てた。

またあるときちょうど夕方西日が窓に当たる頃、ゴロンと床に横になったときに何気なく窓を見ると、ガラスに自分のより小さい手型がついているのをみつけ、何でこんな所にこんな手形があるんだ?
ここは2階だから誰かが外からつけたんじゃないだろうけど、と思いつつも気にせずそのまま寝付いてしまった。

そしてAは目覚めたのだが、もう辺りは暗く、そして金縛りにあっているのか自分の体を動かす事が出来ない。
そして自分の足元の方から、スーッ、スーッ、スーッ、という音がする。
その音はやがて自分の顔に近づき、見ると、白装束で髪が長く不精に垂れ流してて顔の見えない女が床を這っている!!

その女が自分の顔を通過する。
女の目だけが見えた。凝視して今にも飛び出しそうな目!!
女は通過し、部屋の隅を這っている様子。
やがて自分の体に力が入り、ワアーァ、っと声上げ電気をつけ、一目散にドアを開け、近所に住む友人の元に駆けていった。

友人のところで一晩明けて、すぐに不動産屋に問い詰めたところ、幽霊の類の話は聞いたことがないという(実際自分たちが知っている話を隠していたのだろうか?)。
そこで近所の人に話を聞いてみたところ、3,4年前にあそこの部屋で女性が恋愛のもつれからか首吊り自殺を図ったらしい。

当然Aはそのアパートを解約、別のところに引越し、いまは某電気メーカーで働いている。



32:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:44:56.432ID:0ZRQn55R0.net
私の身に起きた不思議な話を聞いて下さい。
大学の先輩の事なのですが、付合っていた彼女が交通事故にあった。
即死だったそうです。

後日、傷心している先輩を励ますつもりもあり、先輩のアパートに遊びに行ったのです。
今だガックリと肩を落す先輩はポツリと、
「俺がバイトじゃなかったら…留守にしていなきゃ」
と、留守番電話の再生ボタンを押した。

『もしもし、今からそっちに行くね』

電話から再生されたのは生前の彼女の明るい声。
「これが、彼女の最後の声なんだ…俺の部屋に来る途中に…俺さえ電話に出ていれば、迎えにいけば、もしかしたら…」
「たとえ先輩が部屋にいても、何も変わらなかったかもしれないじゃないですか。やっぱ彼女は…」
私は口をつぐんだ。
何を言っても、今の先輩には慰めの言葉が見つからなかったから。

一月後、想いを振払う様に先輩はアパートからの引越しを決めました。
私は、先輩の引越しの手伝いにいったのです。
手際の悪い私達は、アパートの荷造りが一段落する頃には、日も傾きかけていました。

「悪いな、お前に荷造りまでさせてしまって」
「いいんですよ、もうすぐ片付きますね」

と、その時、部屋の片隅に置かれていた留守番電話から、

『もしもし、今からそっちに行くね』

…かっ、彼女の声、まさか…

ギョとした私ですが、今だ彼女を忘れられない先輩はボイスメモリを消さずに、何かの拍子に再生されただけだ、と自分を納得させたのです。
しかし、何もこんな時にタイミングが悪いと思い先輩に目をやると。

「悪い…」
「エッ」
「悪いな、今日はありがと、もういいよ、帰ってくれないか…」
「帰ってって、トラックも借りてきてるし、今日中に出なくちゃまずいじゃないですか」
「いや、俺は、もうちょっと、ここに残るから、あとは大丈夫だから」

ただならぬ先輩の気配に、ただ従うしかなく、私は部屋を出ました。



34:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:45:52.514ID:0ZRQn55R0.net
その日以来先輩が行方不明になったのです。
アパートの部屋はあの時の荷造り途中のままで。

私は、あの時帰ってしまった自分を後悔しました。
時が経ったとはいえ、傷心しきった先輩は自殺したかもしれないじゃないか…

先輩の御両親も警察に捜索願いを出し、私は、警察に出向き、あの日の事を事細かく説明をしました。
記憶をたどりながら。
と、一つの何気ない行動の記憶が蘇り、私は全身が鳥肌立つったのです。

あの時、引越しの荷造りをする時、私は早々に留守番電話の回線だけ残し電源コードはコンセントから抜いた…
電話が掛かりこそすれ、留守番電話が再生されるはずがないじゃないか…
『もしもし、今からそっちに行くね』
あの時の彼女の声は、留守番電話の再生音なんかじゃなかった。
なぜ気が付かなかった。
そして、先輩は知っていたんだ、あの時、彼女からのメッセージである事を…

私は警察には、そんな事は言えませんでした。
私を帰した後、じっと彼女を待っていた先輩。
彼女は来たのか…彼女は先輩を連れていったのか…どこへ

これが、私の経験した不思議な話です。
この事を思い出すにつれ、恐さより寂しさを想います。
先輩と彼女は幸せに一緒にいるのでしょう…どこかで…



41:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/26(水)23:59:21.858ID:0ZRQn55R0.net
私は蜘蛛が大嫌いです。
それこそ洒落にならない程の恐怖を感じます。何故でしょうか。
これは、小学校に上がる前の話です。

兵庫県のSというところにあるマンションに住んでいました。
マンションは敷地内に3棟あったと思います。
私のうちはそのうちの1棟の8階の一番奥にある部屋です。

8階には私と同い年の男の子が私を含め3人いて、皆仲が良く、いつもマンション内の公園や敷地内の色々な場所で遊んでいました。
場所によってはガガンボや蜘蛛が沢山いて、気味が悪い。
マンションの背後には大きな山が聳えているせいか、虫がやたらと多いマンションでした。

さて、仲良し3人組みとは別に、たまに一緒に遊ぶT君という男の子がいました。
T君はマンションの1階に住んでいて、少し内気な感じの子です。
外に出て遊び回るより、家の中でおもちゃで遊ぶのが好きだったようで、
外遊びが好きな私達とは1ヶ月に数度遊ぶ程度の仲だったと思います。

ある時、私一人でT君のうちに遊びに行きました。
マンションの一階は少し薄暗いのです。
さらにその日は曇りだったので廊下が夜のように暗く、T君のうちに入るまでかなり心細かったのを憶えています。
T君のうちに着くと、T君とT君のお母さんが出迎えてくれ、ホッとしました。

T君は救急車やパトカーのミニカーを取り出してきたので子供なりにストーリーを仕立てて2人で遊んでいました。

しばらく遊んでいて、ふと視線を上げると、T君の部屋の箪笥の上に見慣れないおもちゃが置いてあることに気が付きました。
下から見上げる限りでは、レールが立体的に交差した造形しか判別出来ませんが、いかにも面白そうなおもちゃです。

「あのおもちゃで遊ぼうよ」
と、T君に頼みました。
するとT君は素っ気無く、
「壊れてるから遊べないよ、○○君が壊したんじゃないか」
と言います(○○君とは私のこと)。

吃驚して、
「嘘だあ。あんなおもちゃ見たことないよ」
と言い返すと、
「この前遊びに来た時壊したじゃないか」
と言い張るのです。
全く記憶にない事です。



42:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:00:37.231ID:lnUWv1Zi0.net
ちょうどその時T君のお母さんが部屋に入ってきて、箪笥に洗濯した服を仕舞い始めました。

「T君が、僕があのおもちゃを壊したっていうんだよ」
と、T君のお母さんに訴えました。
「だって○○君、この前遊びに来た時壊したでしょう」
と、T君のお母さん。

当時4歳か5歳だったと思いますが、私は3歳位からの記憶がわりとハッキリと残っています。
既に物心ついていましたので、友達のおもちゃを壊したかどうかくらいは判断出来ます。
断じてそんな記憶はありませんし、そもそもそのおもちゃを見るのは初めてなわけです。

「どうしてそんな事言うの?ぼくは壊してないよ!」
「この前遊んでて壊したじゃないか」
「そうよねえ、○○君が壊したから遊べなくなったのよね」

その時は勿論この言葉を知りませんでしたが、そう、生まれて初めて「不条理」を感じた瞬間だったと思います。

しばらく必死に記憶を辿って、以前にT君のうちに遊びに来た時の事を思い出そうとしてみましたが、やはり何も憶えていませんでした。
その場にいたたまれなくなり、自分のうちに帰りました。

私にとってはかなりショックな出来事で、帰宅しても親に話せません。
その後間もなく、私達一家は東京へと引越ししてしまったので、T君のおもちゃのことは不可解なままになってしまいました。

その後、私は叔母から誕生日の贈り物に幼年向けの「ファーブル昆虫記」をもらい、大変に気に入って何度も何度も読み返していたので、虫がとても好きになりました。
引っ越した先は東京にしては自然が多い地区でしたので、外に出ては色んな虫を捕まえて遊んでいました。

ただ、どうしても蜘蛛だけは好きになれません。
好きになれないどころではない、蜘蛛の事を考えるだけで身の毛がよだつ思いがします。
ファーブル昆虫記にも蜘蛛の話は載っていて、お話としては非常に面白いのですが。

小学校、中学校、高校と、いつまでたっても私の蜘蛛嫌いは直りませんでした。



43:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:02:19.317ID:lnUWv1Zi0.net
ある日、幼い頃育ったマンションでの日々について、母親と思い出話を語ることがありました。
色々懐かしく思い出しながら話しているうちに、
「お前は今でも蜘蛛が大嫌いだけど、子供の頃は本当に酷かった。夜中にいきなり『蜘蛛は嫌だーっ!』って叫び始めるんだよ。」

先に書いた通り、私は自分ではわりと小さい頃の記憶がある方だと思っている。
でも、夜中に泣き出したという記憶は全然ないわけです。
母親が語るには、私の泣き叫ぶ様があまりにも真に迫っていて、まるでそこに本当に蜘蛛がいるかのように怯えていたそうです。
寝ぼけたという様な生易しいものではなく、錯乱状態といってもよいぐらいで、気でも違った様に見えた。
そんなことが何度も続くので、病院に連れて行った方が良いのでは、と悩んだほどだそうなのです。

そこで少し、自分の記憶があやふやになってきました。
いくらなんでも、そんなことがあったら憶えているんじゃないか?でも全く憶えていない。

ハッとしました。
こういうことは前にもあったなあ。
そうだ、T君のおもちゃのことだ。

そこで何か思い出しそうになり、T君の薄暗い部屋のイメージが頭の中にフラッシュバックしてきました。
でも、はっきりと思い出す前に記憶の糸がフッと途切れてしまい、それ以上は思い出せません。

その時母親が、
「あのマンションは裏手が山だったから、大きな蜘蛛がたまに出たんだよねえ。大人の手くらいあるやつ。あんな大きな蜘蛛、子供が見たらすごい大きさに見えるだろうねえ」
と言いました。

その瞬間、私の頭の中に幾つかのイメージが同時に駆け巡り、気が付くと私は頭を抱えてウゥと唸っていました。
すんでのところで叫び声を抑えていました。

T君の部屋で走り回っている時に転んで、あのレールのおもちゃの上に倒れこむ瞬間
床を叩きながら泣いて私を非難するT君

T君に、どうすれば○○君を許す?と聞くT君のおかあさん

T君のおかあさんが、彼女の手より大きな蜘蛛をつかんで


僕の口に


感触が!



44:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:03:11.828ID:lnUWv1Zi0.net
私の母親は驚いたことでしょう。
私は逃げるように自分の部屋まで走り、そのまま布団をかぶって頭の中に蘇ってくるイメージを消そうと、もがきました。
その日は朝まで眠れずに記憶と葛藤し、その後数週間は日常生活の合間に蘇ってくる記憶に苛まれ続けました。

なにしろ人と会っていても、いきなり頭を抱えてうめき始めるわけです。
頭がおかしくなったと思った人もいたでしょう。

「蜘蛛を食べれば、許す」
「じゃあ、蜘蛛とってくるね」
冗談かと思いきや、数分も経たぬうち戻ってくるT君のおかあさん
「廊下に巣を張ってる蜘蛛を取ろうと思ってたんだけど、すごい大きな蜘蛛がいたからそっちの方を取って来た」
「うわっ、でっかー!」
「ほーら○○君、食べなさい」


今では分かる。
T君の母親は、本気で蜘蛛を食べさせようとしたわけじゃない。
でも、彼女の目は、加虐の喜びに満ちていた。
彼女はひとしきり大きな蜘蛛を私の口のまわりになすりつけると、ひょいと窓から蜘蛛を捨て、
「おかあさんにいっちゃだめよ!」
と恐ろしい顔をして言った。そしてT君にも、
「これで○○君を許して上げなさい!」
と叱りつけた。

これが私の、蜘蛛を嫌いになった理由です。



48:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:17:37.449ID:lnUWv1Zi0.net
終電間近の地下鉄の駅でのこと。
大学生のAさんは飲み会の帰りで、ほろ酔い加減で電車を待っていた。
あたりには人影はまばらだ。

と、そのときに目の前にいたサラリーマン風の50代くらいの男性がいきなりホームに落ちた。
あがってこようとしているようなのだが、彼もまた酔っているのかなかなかあがれない。
心配したAさんがのぞきこんだところ、そのサラリーマンと一瞬目が合った。

なにか釈然としないものを感じながら、Aさんは手をさしのべて彼を引き上げようとした。
サラリーマンは上目遣いで照れくさいのかニヤニヤしながらAさんの手をつかんだ。

そのときに電車の到着を告げるアナウンスの声が。
慌てたAさんはひきあげようとするが、まるでふざけているかのようにサラリーマンはあがってこようとしない。
このままだとAさんまでもが巻き込まれてしまう。
身の危険を感じたAさんは思わず手を振りほどこうとしたのだが、手は一層強くつかまれてしまい、むこうは離してくれようともしない。
そのときAさんは気がついたのだ。

こいつはオレを道連れに死のうとしているのか?

その時。
「危ない!」
という声とともに誰かに肩をつかまれて、ホームの上に引き戻された。
ほぼ同時にホームに電車が入ってきて、Aさんは難を逃れることができた。

「危ないところでした。もう少しで落ちるところでしたよ、酔っ払っていたんですか?」
Aさんを助けてくれたのは一人の駅員だった。
まだ驚きで口の利けないAさんにむかって、駅員は更に続けた。

「ここ、柱の影になっていて危ないんですよね…先月も今くらいの時間に、50歳くらいのサラリーマンが酔って転落しちゃったんですけれども、誰も気がつかなくってそのまま…」

やがて電車が止まり、ドアが開いた。最終電車だった。
Aさんはそれに乗り込んだが体の振るえがまだとまらなかった。
窓からぼんやり眺めていると、いつのまにか先ほどのサラリーマンがホームに立っており、憎憎しそうにこちらを睨んでいる姿が小さくなっていくのが見えた。



55:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:33:37.703ID:lnUWv1Zi0.net
大学生時代、学校の近くのアパートに一人暮らししてる友人(仮にSする)は、俗に言う「霊感の強い奴」だった。
元々俺は幽霊話・怪談話は好きだったが、あまり「霊を見る」事は無かったと思う。
所がSと付き合い始めてから、そいつの影響か、よく「霊体験」をする様になった。

俺はその頃Sと本当に仲が良く、家に帰らずにSの家に何日も泊りっぱなしという事も珍しくなかった。

あれは確か、7月の半ば位だったか。
俺の所属するクラスの殆どの皆が課題を期限内に完成させる事が出来なかったので、他の科の奴等は夏休みに入っているにも関わらず、登校して作品制作に精を出していた。(美大だった為)

その日も帰りが遅くなった事もあり、家に帰るのがかったるくなってしまったので、Sの部屋に泊めてもらう事にした。
工房内にエアコン等ある訳も無いので体中汗臭く、またFRPを使っている為に作業服を脱いでも体のあちこちにガラス繊維が付いているので、チクチクして仕方がない。

俺はシャワーを浴びさせてもらう事にした。
先にシャワーを浴び終えたSは、
「ちょっと用があるから出掛けてくる。シャワー浴びてて良いよ。」
と言って出て行ってしまった。

ようやくこの不快感から脱出できる…!
人の家にも関わらず、着ていた服を適当に脱ぎ捨て風呂場に入った。
こういう時のシャワー程気持ちの良い物は無い。
昇天するかの様な気持ちの良さを満喫しながら、髪を洗い始めた。

その風呂場には小さい椅子が置いてあって、それに座り、下を向く感じで髪を洗っていたのだが、なんとなく違和感を感じた。

…人の気配?

視界には自分の膝、そして爪先…と入って来るのだが、その先にもう一つ(いや、1セットと言うべきか)ある。
俺が入った時は、(当たり前だが)先客は中にいなかった。
小さい。
男の足では無い。女か?
しかも薄~い土色というか、生気の無い色をしている。作り物の様だ。
…で、爪先はこちらを向いている。

一瞬パニくりそうになったが、Sが言っていた事を思い出した。
「向こうに、こっちが(向こうの存在に)気付いてる事を悟られては駄目だ。」
その場が風呂場とは思えない程全身を寒気が包み、泣きそうになるのを堪え、目を閉じ、必死で気付かないフリをして髪を洗い続けた。



56:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:34:22.707ID:lnUWv1Zi0.net
不意に、その「足」の方から声が聞こえてきた。
こもっていると言うか、丁度隣の部屋のテレビの音が聞こえる様な感じで。
何を言っているかは聞き取れない。会話の様に聞こえたと思う。
時間の感覚は既に無い。
その「物体」は永遠と俺の前で会話らしき物を続け、俺は髪を洗い続けている。

その時だ。
ふと「会話」が止んだかと思うと、その「物体」は
『バタン!!』
と物凄い勢いで風呂場の扉を開け、
『ドン!ドン!ドン!』
とアパート中に響き渡る程の大きな足音を立てて走り、
『ガラララ、バン!!』
とまたも物凄い勢いでベランダのドアを開けて出ていった。

俺はもうその場にいる事が出来ず、シャンプーも流さずにズボンだけ履いて外へ逃げ出て、Sが帰ってくるまでアパートの門で震えながら座り込んでいた。



62:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:49:40.754ID:lnUWv1Zi0.net
私の弟が大学時代に体験した話です。
長くなりますので長文苦手な方はスルーして下さい。

弟が大学2年の夏休み前、友人のKがおいしいバイトを見つけて来たそうです。
バイト内容は崖の上から眺める海が美しいことで有名な観光名所で、自殺が多いことから監視員をするというものです。
8月からの1カ月間で住込3食着で人数は何人でも良く50万円。
ただし、仕事期間を全て終了しなければ報酬は支払われない条件だったそうです。
Kと弟は25万ずつ山分けしようと2人で引き受けることにしました。

初日、観光協会の方に連れられ仕事の詳しい説明がありました。
崖の上には展望台とちょっとした広場があり、広場には平屋の管理事務所がありました。
管理事務所に入ると床に跳ね上げ式ドアと言うのでしょうか?
床にドアがあり、ドアを開けると階段があり階段を下りると8畳ほどの休憩室がありました。ここで寝止まりするそうです。
畳の部屋でテレビ、冷蔵庫、電気コンロなど生活用品は揃っていましたが、電話だけは観光協会に通じる内線だけだったそうです。

管理事務所にある電話はゼロ発信で外線も使えました。
部屋にはドアがあり、2畳ほどの廊下に続いていて廊下のドアを開けると階段があり階段の下は海でした。
つまり、崖の下は海水が流れ込む洞窟になっていてその上から崖をくり抜いた形で建物がある状態です。

午前9時から午後5時までは観光協会の方が管理事務所に居るので、その間は睡眠を取るなり出かけたりと自由な時間で、それ以外の時間が勤務時間だそうです。
勤務時間と言ってもほとんど部屋で待機している状態で、歩いて10分程度のところに観光協会事務所があり、シーズン中の観光協会事務所は24時間体制でした。
旅館、ホテルから観光協会の方へ匂わす宿泊客が居る。
夜になっても戻って来ない人が居るなどの連絡があった時は内線で連絡があり管理事務所で監視体制に入るそうですが、無い場合はほとんど部屋でやりたい放題。

観光協会の方もビールや海産物の差入れを持って来てくれたり、退屈だろうとビデオを設置してくれて、交替の時には新しいエロビデオを置いて行ってくれる。
雰囲気バツグンなところを除けばこんなにおいしい仕事は無いと、Kと二人でお祭りだったそうです。

3日ほど過ぎた頃、初の内線電話があり、20代後半ぐらいの女性が行ってる可能性があるとのこと。
Kと二人で見回ると展望台にあるベンチにそれらしき女性が座っていて説得して事務所に連れて行き、観光協会に連絡すると車の迎えが来て女性は連れて行かれました。
Kと弟は初仕事で人の命を救ったと部屋で盛りあがっていると、ドアの外からゴツーン、ゴツーンという音がして来ました。
音はずっと続いていましたが、流木かゴミが流れ着いて階段にぶつかっているのだろうと気にもせず、翌日の交替になりました。

報告で音がしていたことを告げると観光協会の方が
「今年もシーズンが来たか…」
そう言うと二人を連れて階段を下りて行ったのです。
ゴツーン、ゴツーンという音が階段に響いています。
何か黒い塊のようなものが波に揺られて階段にぶつかりその音となっています。
水死体でした。
すぐに警察が来て引き上げられた死体は魚に食い荒らされてほとんど白骨状態で、頭蓋骨部分が階段に当り、不気味な音を立てていたのです。



63:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:52:26.539ID:lnUWv1Zi0.net
8月に入ると潮の流れが変わり、洞窟内に死体が流れ着くそうです。
潮の流れが変わっているシーズン中に飛び込めばすぐに洞窟に流れ着くそうですが、シーズン以外に飛び込むと死体は沖に流され潮の流れが変わるまで死体は戻って来ません。

流れが変わると危険なので洞窟内からの死体撤収作業が出来ないため上から行う。
つまりこの作業のために崖をくり抜いて洞窟に続くような形で建物があったわけです。
観光客が多いシーズンでもあり、死体が上がったとなると大変な騒ぎにもなるため、秘密の作業所、霊安室でもあったのです。
休憩室と階段の間にある2畳ほどの廊下に死体を引き上げ安置し、観光客がいなくなる時間になると死体を運び出すそうです。

自殺志願者を監視する仕事はタテマエでした。
本当の仕事は流れ着いた死体を監視することだったのです。
死体はほとんど、夜中に流れ着きます。
発見したらすぐに観光協会に連絡し、警察が来て夜中の内に引き上げられるようにする。
二人は死体引き上げ作業や運び出す作業には関わらないものの、観光客が来る時間帯に発見されれば二人が寝止まりする隣に死体が安置されるわけです。

1カ月で50万なんてウマすぎると思った。
給料は無しになるけれど、まだ始めて3日だし今なら帰って地元で別のバイトを探せる。
そう思ったものの、恐さより50万の方が魅力的だった二人は自由時間は近づかない、出来るだけ上の管理事務所で過ごす。
それで乗り切ろうとしたのが間違いでした。

交替時間になり、二人は休憩室へ行かず管理事務所で過ごしていましたが、2時間置きに流着していないか見に行かなくてはなりません。

死体が流れ着くことも無く平穏に3日ほど過ぎたときです。
その夜も休憩室へは行かず管理事務所で過ごしていました。

Kが、
「あの女、自殺志願者じゃないか?」
展望台のライトの下にTシャツとジーンズという服装の若い女性が立っていました。
Kと共に懐中電灯を持って事務所を出ると、女性は海を背にして帰って行く姿が見えたので管理事務所に引き帰しました。

戻るといきなり下の休憩室に続く跳ね上げ式ドアからドンドンと叩くような音が聞こえたそうです。
驚いて腰が抜けそうになったそうですが、休憩室のドアが開いていて風が吹き込んでいる風圧じゃないか?
Kの言うことに一理あると二人で行ってみたそうです。



65:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)00:54:16.307ID:lnUWv1Zi0.net
やはりKの言う通り、ドアが開いていてそこから風が吹き込んでいました。
ドアを閉めようとドアから階下を覗くと
白っぽいものが流れ着いていました。
「来たよ…」
すぐに連絡すると10分もしないうちに警察が来て死体を引き上げました。

Tシャツにジーンズ…服装からして先ほどの女性だと直感しました。
けれども髪の長さから多分女性だと判別するものの、衣服の中身はぶくぶくに膨れ上がり原型を留めていなかったそうです。
Kが我に帰って言ったそうです。

「俺、確かにドアを閉めてかんぬきも掛けたんだよ。」

恐怖はそれだけでは治まりませんでした。
二人は次の日から交代に入ったと同時に階下へ行き、ドアをしっかりと閉めかんぬきを掛けて一目散に管理事務所に戻る。
これが日課になりました。
エロビデオで酒盛りだったのが恐怖の時間に変わったのです。

ドンドンと跳ね上げ式ドアから音がする。
ドアが開いている死体が流れ着いている。
音がしない日はドアも閉まっていて死体は流れ着かない。
ドンドンと音がする日は女性の死体。
ガツーン、ガツーンと音がする日は男性の死体。

二人は食欲も無くなり不眠症にもなり勤務時間以外はほとんどボ~っとして街中にある公園で過ごすようになり、2週間も過ぎると限界が来てついに辞める決心をしました。

「もうあの管理事務所には行けない。」
二人で観光協会に泣きつくと、100万にするから続けられないかと説得されたそうですが、この時は100万より恐怖の方が勝ったようでガンとして断ったそうです。
本当は無報酬なのですが、交通費と10万ずつ頂いたそうです。
ゲッソリ痩せて青ざめた顔をして帰って来た弟を見た時、ビックリして何があったのか問い詰めましたがずっと沈黙を守ったままでした。

それから社会人になった今でもKとは親友同士でKは良く我家へ遊びに来ます。
3年ほど前、Kが我家の鍋パーティーに来た時、弟と共に重い口を割り話してくれた話です。
Kによると何かの恐い話し系の本に同じような話が掲載されていたそうです。
ご存知の方いらっしゃいますか?



73:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)01:03:16.927ID:lnUWv1Zi0.net
幼い日、何てことなく通り過ぎた出来事。その記憶。
後になって当時の印象とはまた違う別の意味に気付き、ぞっとする。
そんなことがしばしばある。

例えば。
小学生の頃、通学に使っていた道は一面田圃の田舎道だった。
途中に寂れたマネキン工場があり、あとはそのずっと先に駄菓子屋が一軒。
人家は田圃の向こうに点在するのが見えるだけ。
マネキン工場は既に廃工場だったらしく、人が働いている姿を見た記憶が無い。
封鎖された敷地の隅にはバラバラになったマネキンの残骸が積んであり、それが金網越しに見える。
その様は面白くもあり、不気味でもあった。
工場の敷地を幅が広い側溝が取り囲んでいて、酷い悪臭を放っている。
濁り、ヘドロ状になった水。無造作に捨てられた大量のゴミ。

ある日寄り道をして、いつもは行かない工場の裏手に回ってみた。
側溝の惨い有様は道路側をはるかに上回っている。
そこで、ゴミに混じって半身を浮かせた女性のマネキンを見つけた。
白く整ったその顔立ちは掃き溜めに鶴といった風情。
引き上げて友達連中が集まる溜まり場に持って行けばヒーローになれる、とは思ったが、水が余りに汚いし場所も遠いので諦めた。
他の奴がヒーローになったら嫌なので、この発見は誰にも教えずじまい。
それからしばらくは、その人形の様子を確認しに行くのが日課となった。
けれど、哀しいことに彼女が日に日に朽ちて行くのが分かる。

数日も経つと白い肌は薄汚れて変色し、見る影も無くなって来た。
やがて、豊かな頭髪は抜け落ちてまばらに。
艶を失った肌は黒くぼこぼこ。鼠に齧られたらしき痕すら見える。
諸行無常。最早すっかり興味を失った。
最後に見た時には、水面を覆い尽くすゴミに埋もれて、透明度ゼロの汚水に大部分が沈んでしまっていた。
かろうじて水面に覗いた部分も、水を吸って醜く膨らんでいる。
それはもう、ただのゴミだった。

けっこう日が過ぎてからもう一度見に行った。
けれど、もう、彼女の姿はそこには無かった。
やがて小学校を卒業すると、その道を通ることすら無くなった。



74:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)01:03:57.624ID:lnUWv1Zi0.net
高校3年の夏休み。気まぐれに思い出の場所を自転車で回った。
あの場所にも行った。
景色は一変している。
田は潰されて住宅が立ち並び、工場跡は駐車場になっている。

マネキンのことを思いだし、感慨に耽る。
ふと気付いた。怖い考え。
プラスチックがあんな朽ち方をするだろうか?
既にグロ画像を多数目にしている自分。
そこで得た知識ゆえに嫌な考えを振り払えなくなった。
あれは人が腐敗して行く過程そのものだったのでは…?

本当の事はもう分からない。
ただ、懐かしい思い出だったものは、今では見知った人には話せない忌まわしい記憶になっている。



82:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)01:26:40.008ID:lnUWv1Zi0.net
叔父に聞いた話。
今はどうか知らないが、昔は当り屋という商売があった。
自分で車にぶつかっておいて運転手に因縁をつけ、慰謝料や口止め両をふんだくるという、ヤクザな生業だ。

叔父が小学生のころ、自転車ごと車にはねられたことがあった。
幸いたいした怪我もなかったのだが、運転手が車から降りてくると、突然見知らぬオッサンが横から現れて
「おい、俺のガキになんてことしてくれたんや」
と運転手に迫った。

叔父が怖さと痛さで泣いていると、オッサンは金銭を要求しだした。
もめた末、オッサンが運転手をどつくと運転手は悲鳴をあげて車に乗り込んであっという間に逃げてしまった。

オッサンは
「済まんかったな坊主」
といって慰めてくれた。
叔父はなんとなくこの人は当り屋だと分かったという。

それを聞いてみると、
「俺はな、むかし無茶しすぎていま体ボロボロや。首は何度もやったし、肋骨も一本ないんやで」
そう言って胸を触らせてくれた。
その時異様な胸の冷たさに叔父はぞっとしたという。

「それにな、心臓もないんや」

無理やり触らされると、そこも冷たくて確かに鼓動はなかった。

「じゃあ、俺あの運転手追いかけるわ」

そういうとオッサンは叔父を残して去っていった。

あれはこの世のものではなかった、と口癖のように言う。



89:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)01:39:13.793ID:lnUWv1Zi0.net
携帯でメールをしながら歩いていると、右膝に何か当たった。
と思った次の瞬間、右側の地下通路への階段を子供が転げ落ちていくのが見えた。
スタントマンのように横向きに回転しながら、だんだんと加速して転がっていく、2歳くらいの男の子。
転落していくその間もずっとおれの顔を泣き顔で見続けている。
おれは妙に現実感がなく、それを観察していた。

一番下まで落ちた子供は2,3度回転してうつ伏せで止まった。
そのままぴくりとも動かない。
やっとヤバイと気付いたおれは、他に人の目がないのを確認すると急いでその場を離れた。

そして3日経った。
試験休みで昼まで寝ていて、飯を食うために降りていくと、母親が喪服にアイロンを当てていた。
「今日お母さん、遠藤さん家のお通夜出ていろいろ手伝いするから。おでん作ったから夜はお父さんとそれ食べて」
「うん…」
おれがまだ眠くてボーっとしていると、母は
「かわいそうに、拓海くんまだ2歳になって間もないのに…」
と喪服を広げながら言った

近所の子供だった。
知りたくなくても情報は次々入ってきた。
遠藤さん夫婦の、結婚して6年目に待ち望んでやっと授かった一人息子だったこと。
夫婦はどちらも一人っ子で、どちらの両親にとっても初孫で、みんなが溺愛していたこと。
1ヶ月前に2歳の誕生日を向かえ、まだ乗れない三輪車をプレゼントにもらったこと。
その三輪車がお棺の横に置かれ、遺影も誕生日のケーキを前にしての写真だったこと。

意識不明のまま入院していたその子が死ぬ間際に
「まま、こわい」
と言ったこと…
聞けば聞くほど鬱になったが、おれは自分のせいではないと自分に言い聞かせた。
おれにぶつからなくても転げ落ちていたかもしれないじゃないか。
ちょろちょろしてるガキが悪い。
目を離した親が悪い。
おれは悪くない。おれのせいじゃない。



90:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)01:40:41.144ID:lnUWv1Zi0.net
休みが終わり、学校へ行った。
階段を下りるとき、何かが膝の裏を押してガクッとなった。
よろめいたが特になにもない。うしろにも誰もいない。
何も思わず、少しだけ慎重に階段を下りた。
そして帰り道の駅の階段を下りる時。
また何かがおれの脚を押した。
後ろを見てもなにもない。…だが何かの感触があったのは確かだった。
1mにも満たない大きさの何かが、おれに体当たりしたような感触だ。

体中の血が冷えた。
動悸がして、おれは焦って早足で駅を出た。
早く帰ろう。駅からつながっている歩道橋を降りて自転車に乗って、5分もすればもう家だ。
歩道橋を歩き出したおれは、前から歩いてきた女の人と目があった。
30歳前後のショートカットの女性。
なぜか目を見開いて立ちすくんで俺を凝視している。
その時。

『まま!!このひと!!!』

真後ろから大音響で子供の甲高い声が響き渡った。
おれは度肝を抜かれ、ここに居た全員が今のを聞いてしまった!と思いあわててその場から逃げ出そうと、階段へ走った。
足がもつれる。そこへまた何かが脚にぶつかってきた。
おれは階段から転落した。

気がついたら病院だった。
死なずにすんだ…
医者から説明を受け、母にむいてもらったりんごを食い、一人になって横になろうとした時、入り口のドアのすりガラスに小さい人影が映っているのが見えた。
ぼんやりと見える男の子の影。
ぺたっと手のひらがガラスに押し付けられた。
おれは頭を抱えて目をつぶった。
しばらくして目を開けると消えていた。
…遠藤拓海くんだ。
おれを許さないつもりだ。

あれから下りの階段に近づくたび、後ろから精一杯の幼い力でおれを押している感触がある。
だからおれは出来るだけ階段は使わない。
だんだんと、押す力が強くなっている。
もし長い階段を下りなくてはいけなくなったら、今度こそ命がないかもしれない。



91:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/10/27(木)01:42:29.415ID:lnUWv1Zi0.net
|A-) 今日の怖い話はここまでー



104:過去ログ★[]
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引用元:毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか
http://vipper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1477491046/



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